サラの鍵 フランク・オコナー短篇集 片目のオオカミ すべては消えゆく 踏みはずし 長く冷たい秋 めぐらし屋 ミッドナイト・エクスプレス 雨のやまない夜 アメリカの鱒釣り 西瓜糖の日々 芝生の復讐 |
アメリカの鱒釣り 西瓜糖の日々 芝生の復讐 リチャード・ブローティガン 藤本 和子・訳 何々を何々と言い換えて読もう。 まるで暗号文を読むようだった。 飛んでる。 <110316> 雨のやまない夜 サム リーヴス 小林 宏明・訳 クーパー・マクリーシュは熱い男だ。前作の印象よりはきっちりハードボイルド。多くは望まない、でも自分の大事なものは命がけで守る。格好いいではなか。 元兵士同士の年齢を超えた気持ちの交流も心に残っている。前作もそうだったけれど、クーパーはベトナムを経験していることが設定の大きな要素だ。アメリカの暗い部分を背負っているような。 絶版のため図書館本から見つけ出しましたが、ボロボロが悲しかった。復刊したらシリーズで持ちたいけどな。 <110226> ミッドナイト・エクスプレス 沢木 耕太郎 沢木耕太郎ノンフィクションの第8巻。言わずと知れた「深夜特急」再々読。 以前は3冊だったのを一冊にしてあるから、就寝前の読書にはちょっと重いけど、リラックスした時間に少しずつ読み進める紀行は本当に楽しい。 <110217> めぐらし屋 堀江敏幸 父の遺品を整理する為、久しく離ればなれで住んでいた父の部屋を訪れた蕗子さんは、表紙に「めぐらし屋」と書かれたノートを見つけ、晩年の父の生活に触れることになる。 <110215> 長く冷たい秋 サム・リーヴズ 小林宏明・訳 主人公はヒーロータイプじゃなくって、結構殴られるわ撃たれるわぎりぎりまでやられちゃって、ひどい目にあって、でも何とか運動神経で切り抜けるというようなタクシードライバーのクーパー・マクリーシュ。やっとこさ一応ハードボイルドといった感じ。 生き方もぎこちない。 事件の発端は過去の切ない恋だ、新聞で偶然目にしたのは失恋して十数年経った今も忘れられないヴィヴィアンの自殺を報じた記事だった。 主人公の人物像は良い具合に明確で魅力もある。どうやらあと三作、シリーズで翻訳されているようなのだけど、本作以外は絶版で手に入らない。一作目がベストの出来だったんだろうか? 折を見て図書館本で確かめようかな。 <110213> 踏みはずし ミシェル・リオ 堀江敏幸・訳 表紙はカンディンスキー。 堀江敏幸の訳にも興味があった。 好きな作品だった。ひんやりとして張り詰めた空気の前半も楽しめたし、そこにちょっとした波紋が広がってゆく過程も、終幕があっさりやってくる様子も、とても小説的。 訳は原作の雰囲気を生かすために配慮されているようで、堀江氏本来の文章より少し乾いた感じか。 <110202> すべては消えゆく アンドレ・ピエール ド・マンディアルグ 中条 省平・訳 遺作を意識し、確かにそうなった作品。ということは作者渾身のというか細心の注意で選りぬかれた要素・文体・結末。 すべては消えゆく。 物や記憶はおろか、一番いろんな形であがいてみせそうな「人」ですら、時にはみずから納得した上で。 あきらめも納得の一種だろうか。 「確かなことがもうなにも分からなくなったときにこそ」と女は続ける。「確かさへの道を順調に進んでいるのよ」(p.163) この部分で、作品の内容とは無関係にちょっとふさいだ気持ちに力をもらえたのは事実。でも本当にそう? memo:三島(由紀夫)(p.99) <110201> 片目のオオカミ ダニエル ペナック 末松 氷海子・訳 片目で見つめあう少年とオオカミ。 その目の中に見えるのは互いの悲しみ。 頑なな心は溶け、信じる気持ちがよみがえる。 <110125> フランク・オコナー短篇集 阿部公彦・訳 「法は何にも勝る」「マイケルの妻」 <110124> サラの鍵 タチアナ・ド・ロネ 高見 浩・訳 手に取れば、端正なハンマースホイの表紙。 その扉のたたずまい。 招き入れているのか、拒絶しているのか。 心が通じ合うということに理屈はない。 分かり合えるというところには条件や理由はないのだなぁ。 ストーリーの中心にあるのは、ホロコーストをめぐる暗い部分ではあるけれど。 フランスでこんなことがあったなんて想像も出来なかったけれど。 そしてそれは心に留めるべきではあるけれど。 より印象に残るのはその部分ではなく、人の良心だった。 鍵をかければ入れない、出られない。 過去、心、現実。 目をそらさずによく探してみれば、 あらゆるところに鍵のかかった扉があるかもしれない。 <110117> |
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