イタリア旅行記
2003.11.15-27
1. Napoli

今度の旅行の必需品の中で一番大切なのは“靴”だと私は認識していた。
M夫妻は以前のイタリア旅行中、何度もその日の万歩計の結果を最後に書いた絵葉書をくれたのだけれど、たいていその数字は2万歩前後だったからだ。
歩きやすい、足が痛くならない靴、これを早くゲットして足慣らししなければ…。結局10日くらい前に目的にかなう靴を見つけた。これで大丈夫、どこへでも行かれる。靴を買っただけで準備万端の気分になった。 

さて、今回の旅行の構成メンバーは、TちゃんKちゃん夫妻と、夫Mと私の4名です。TちゃんとKちゃんのM夫妻はイタリアを数回訪れていて伊語も恐れない、特にKちゃんは日ごろからまじめに語学に取り組んで、今回もその実力を充分発揮、私たちに限りない安心感を与えてくれました。かたやうちの二人といえばイタリアはお初です。おのず役割はM夫妻に重く、大変お世話になりました。



11月15日

車を成田の駐車場に預ける為、早めに空港に着く。搭乗手続きを済ませ安心してコーヒータイム。TちゃんKちゃんとも合流して、機上の人となる。
ミラノで2時間ほど待ち合わせをして国内線に乗り換えナポリに向かう。この待ち合わせ時間の間に、Mは旅行中大切なフレーズ「生ビールお願いします」のイタリア語を練習、これは有用な生きた勉強。応用編は「お勧めのワインをお願いします、赤でね」。 

ナポリ着陸直前の夜景が美しかった、オレンジ色の街路灯で道路が良く見える。私にとってイタリアのはじめての街はナポリということになりました。
時は土曜日の夜、空港からホテルへの道は若い人達の人出が多いようだった。私はイタリアでの車の運転は辞退しよう。皆飛ばす、ロータリー型の交差点や、なんとなく合流、分岐といった印象の、一瞬行くべき方向を迷うような道を、みなよく飛ばすのだ。

ナポリでの宿はヨーロッパスタイルの☆☆☆☆ホテル。タイル張りのバスルームは広々として気持ちがよかった。ナポリの宿でゆっくりできたのは、ちょうど家を出てから丸一日経った頃になる。長ーい一日をほぼ移動で過ごした私達は翌日の朝食時間を決めてそれぞれ夢の中へ。

ホテルの窓から見えた
階段のある家


11月16日

スパッカ・ナポリとは旧市街地のあたり。今回の旅でここだけ、現地のガイドをお願いした。この日の予定はそのツアーから始まる。

待ち合わせは10:30 サン・カルロ劇場前。ホテルからバス停まで石畳の坂を歩く。隙間なく路駐されている車の中に面白い物を発見。これは日本にはないでしょう?盗難防止のハンドルロック(というかどうかは知らないけれど)。バスに乗るときはタバコ屋さんや売店で、前もってバスのチケットを買います。最初の乗車のとき時刻を印字してから90分間は何度でも乗り降りできるシステムでした。
待ち合わせ場所のサン・カロル劇場はイタリアの三大劇場のひとつ、王宮の一部にありました。パヴァロッティなどもここで公演するようです。この王宮はスペイン治世下時代に作られたものでスペイン風の宮殿、近くにはフランス式のお城ヌオーヴォ城があり、いろいろな国に支配されたナポリの歴史を感じます。
道を挟んで反対側にはウンベルト一世のガレリア。

 スパッカ・ナポリの人ごみは尋常ではない、命がけで街をあるく。歩行者天国に車やバイクが走っている感じ。折しもクリスマス用品が街に出始めて最初の日曜日ということで、大変な混雑でした。日曜日はたいていの店が休んでいると思っていたので、この賑わいにはびっくりさせられた。原宿は竹下通り程度の幅の道だけれど、おしあいへしあいの状態です。前を行く人を見失わぬよう、しかも両側の街の様子も記憶にとどめながら向かったのはナポリのドゥオーモ、サン・ジェンナーロ教会。
「日本の人なの?」「ここはサン・ジェンナーロ教会だよ」と話しかけてきたのは目のクリッとした少年だった。ナポリの人はひとなつこい、今思えばイタリアでは南の人ほどそうみたい。

 スパッカ・ナポリのツアーを終了してから私達はお昼にすることにした。ここはナポリです、やっぱりピッツァでしょう。ピッツァ・マルゲリータははずせません。お客さんが並ぶ為、混雑した道の人通りをせき止めて、更に混みあわせているピッツェリアがあった。ガイドブックでもおなじみのDi Matteo、おおかたはクルリと紙に包んだ焼きたてのピッツァを持ち帰ったり、その場でほおばるというスタイルですが、私達は店内に席を頼みました。
それぞれが一枚ずつ好きなのをたのみます、4種類の味をみんなで味わいましょうね、という計画でしたが、果たして出てきたそのピッツァの大きさと言ったら…、おいしいけれど食べきれない。そうだ4人分たのんじゃいけなかったんだ、と学習した私達でした。
でもお隣のテーブルでは女性2人が3枚のピッツァをおなかにおさめたそうで、それを目撃したのはTちゃんでした。

 お昼の後ポンペイに向かう。
ヴェスヴィオ周遊鉄道のボックス席に4人は落ち着きました。その車両の半分は子供を含む、年齢バラバラの家族総出といった感じの大勢さん。よく似た顔の姉妹とその子供達、夫達と思われる人達におじさん、おばさん、おじいさん(これはあくまで想像だけど)陽気に楽しそうにみんなで話していたっけ。「そうだイタリア人はファミリーの結束が強いんだったね」などと言いながら乗車時間ほぼ30分でポンペイに到着。

ポンペイのすごさは私の想像を遥かに越えていました。密集した家々、馬車のわだちを今もとどめる石の道路、家の壁を飾る美しい壁画、使い勝手の良さそうな台所の様子、半円形の劇場跡。小さな露地にも趣があり2000年前の人々の文化の高さ、生活の豊かさには本当に驚かされた。人々の日常や通りの往来が目に浮かぶようだ、そこには生活が見えた。ただ優雅に柔らかそうな衣をまっとた人間達だけがいない。

あの場に行ってみてよかった、すばらしい体験でした。遺跡は現在も発掘が進められている。玄関先の石のモザイク画や色鮮やかな壁画などを掘り当てた人はどんなに感動し、嬉しかっただろう、そんなことを思いながら日が暮れるまでゆっくりと古代の街を味わった。 

ナポリに戻って中央駅(チェントラーレ)で翌日のローマ行きチケットを買い、ホテルに帰る。昼食のピッツァがお腹にこたえていたので、Bar(バール)に寄りコーヒーやパンを買ってホテルに帰る。絵の道具を持ち歩いたが、やはりそんな時間はない、翌日の朝ホテルの近くを描けそうなら試してみようと思った。


ハンドル・ロック
ウンベルト一世の
ガレリア


スパッカ・ナポリのお店






サンタ・キアーラ教会の
美しい回廊


11月17日

出かける前にホテルの部屋から見えた家のスケッチを試すが時間切れで途中まで、昨日と同じ9時出発で国立ナポリ考古学博物館へ行く。バス→地下鉄。
ポンペイから出土したモザイク画の美しさが印象的。見たかったカメオの部屋は2時から開くということで残念ながら見られなかった、また今度ね。

 博物館を出て、サンタ・キアーラ教会へ向かう、昨日歩いた旧市街地の中にある回廊の美しい教会でした。マジョルカ焼きとフレスコ画で飾られた回廊を歩いていると周りの喧騒がうそのようです。この日もよいお天気で日差しがまぶしいくらいだった、中庭に配された表面がマジョルカ焼きの円柱やベンチはその色合いがあざやかでちょっとスペイン風かも知れない。植えられている木は果物がなる木が多く楽園とか別天地を思わせるし、回廊のフレスコ画は保存状態がとてもよく淡い色彩が美しかった。全体に絵画的な美しさにあふれた空間で、いつまででもそこに居たいような心地よさでした。

 夕方にはローマへ発つので、ナポリでの最後の食事をどこでしようかと考えていたところ、ケーブルカーの乗り場近くに地元の人でにぎわっている店を発見。おいしいものに鼻の利くTちゃんが立ち止まった。お店の人がすばやく外のテーブルにテーブルクロスをひろげ席を作ってくれる。軽くパスタランチですが、どれも美味でした。

このあとフニコラーレというちょうど登山鉄道のような車両が階段状になった乗り物と、バスを乗り継いでホテルに帰り、荷物と共にタクシーで中央駅へ行く。

 7時すこし前、所要時間約2時間弱でローマのテルミニ駅に着く。列車(インターシティー)はコンパートメントだった。駅からホテルへ荷物を引っぱって5分くらい歩く。夜の散歩をしてホテルに一番近いトラットリアで夕食。


ポンペイより出土した
お人形の頭か?
ガラス製
可愛らしいのでスケッチ
   Romaへ続く
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