3. Firenze | ||||
********* ここでちょっとブレイク・タイム イタリア都市部の道路事情などレポートします。 路面は石畳が多いので、車もタイヤもタフでなくてはいけない。慢性的に駐車場は不足しているようだし、日本のような立体駐車場などはたぶん景観の面で好まないのだろう。そのかわり路駐は当然と見える、ぴっちり、あるいは寸止め、二重駐車等いたるところで見ました。二重駐車した挙句、内側の車が走り去ってしまい取り残されている車の様子などは大変ユーモラスです。 ベンツのスマートという車をよく見かけました。小回りが利くし、駐車のときは縦に止めたりしています。一般車が縦列駐車している隙間に頭から突っ込む形です、なかなか便利じゃないですか? 歩行者は車の流れを見計らって道を横断します。中には悠然と車を止めてゆっくりと渡りきるおばさまも目撃しましたが、車のほうもだからと言って別に怒った顔をするわけでもなく、これもイタリア流なのですね。ローマでは私もだいぶ道の渡り方が上手になりました。 ********* |
寸止め駐車 |
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長い名前のフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅へは6時過ぎに到着。タクシーでホテルへ、このとき運転手さんは「ホテル・ピッティ・パレスは良いホテルだよ」と請け合ってくれた。部屋に落ち着いて夕食に出かける。ホテルを出てすぐの道の両側のお店は閉まりかけているけれど、きれいなものをショー・ウィンドーに並べている。「ここはヴェッキオ橋の上」とKちゃんに言われて驚いた、確かに上には回廊がある。夢見ていたところにいきなり立っているのが不思議だった。夕食はM夫妻がお気に入りのMamma Ginaにて。にこやかでハンサムなカメリエーレにKちゃんが「去年来たときにお会いしました」とか「おいしかったのでまた来ました」とか言った(のだと思う)ところ、「では来年も来てくださいね」と彼は言って私たちの写真を撮ってくれた。そう言えば4人そろっての写真はこれのほかにはあと一枚しかありません。 |
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11月21日 朝起きて明るくなった外を見てみると、部屋はヴァザーリの回廊が窓からのぞめる驚きの場所。ヴェッキオ橋を渡ってすぐの角に宿は建っていた、なんて素敵なロケーション。そこはヨーロッパスタイルの☆☆☆ホテル、居心地がよくてナポリの☆☆☆☆にも負けていない。☆の基準ってどんなところにあるのだろう? 窓の下には手袋屋さんとBarが見えた、他にも小さな商店がならんでいる。 朝7:30 朝食の為に6階へ上がって行くと、そこからの景色はいかにもフィレンツェだった。トスカーナ特有の瓦をのせた家の屋根が続き、その向うにひときわ高くフィレンツェのドゥオーモ サンタ・マリア・デル・フィオーレと左にはジョットの鐘楼が見えている。塩野七生さんの『銀色のフィレンツェ』の登場人物オリンピアが住んでいたのは、サン・ヤコボ通りだったから、まさにこのあたり。もうこれだけですっかりフィレンツェを楽しんだように思えてしまう。でもまだこれから二日半、私たちはこの街で過ごすことができるのだ。 ナポリやローマと違ってフィレンツェでの観光はほとんど徒歩で間に合います。その日はまずヴェッキオ橋を渡ってシニュリーア広場、ドゥオーモの前を通ってサン・マルコ修道院。数ある『受胎告知』の中でもっとも有名な作品のひとつ、フラ・アンジェリコの『受胎告知』をどきどきしながら見に行きました。階段を上り、ひとつ踊り場を曲がって見上げるとそこにその絵があるのです。なかなか心憎い演出。またしても写真や絵葉書で何度も見ていたその絵が目の前にありました。 修道院の中には、修道士たちが祈るスペースと眠るスペースだけの個別の部屋が廊下に沿ってひっそりと並んでいた、部屋には窓がひとつずつ設けられていたが、驚いたことに各部屋に必ずきれいなフレスコ画が描かれていました。フラ・アンジェリコの手によるものもあれば、弟子達によって描かれたものもありましたが、その絵を描くことも修道士にとって祈りと同様の意味があったのかも知れません。 夕食は軽くしました、近くのBarで、焼いた野菜の前菜、ペンネ、サラダ、ビール、それにアクア・ミネラーレ(お水です)などを買ってホテルですませる。こんな買い物も楽しいものです、旅行者というより少し長く滞在しているような気分。 |
ホテルの部屋から見えた ヴァザーリの回廊 |
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サン・マルコ修道院の裏庭 |
おしゃれなドアベル 一階に全室のベルがある |
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フィリッポ・リッピ 『聖母子とニ天使』 |
ロッソ・フィオレンティーノ 『奏楽の天使』 |
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こんな景色を眺めながら 朝食 |
11月22日 この日は早めに6階の食堂に上がって窓からの景色をスケッチしたが、だんだん北へ来ているせいか日の出がどんどん遅くなり、この日も結局明るくなって来たのは7:20頃だった。 7時のオープン少し前だったのを「食事ではなく、絵が描きたいのです」と中へ入れてもらうと、すぐ後から「あとで家族と食事をするけれど、コーヒー一杯だけ飲ませて」とフランス人のおばあちゃまが入ってみえた、きっといつもの習慣なのでしょうね。私が窓越しにドゥオーモと反対側を描いていると、ホテルの人が「あっち側へいらっしゃい、テラスを開けてあげるから」と言いに来てくれました、親切です。でもこの日はこっち側が描きたかった、ドゥオーモ方面の絵を描くのは整い過ぎていて難しそう。7:30頃には食事にしようと思っていたので色彩までは至らない、でも記憶するには難しい色合いだ、屋根の色が印象的、壁の色も魅力的。日本ではこんなことしたことがない、上手でなくても描いておきたくなる、外国にはそんな景色とそういう気分にさせてくれる雰囲気があるようだ。 『緑の僧院』と呼ばれるフレスコ画の回廊を見て、教会の薬局へ行ってみる。メディチ家の丸薬をあしらった紋章以前、フィレンツェを象徴していたのはイリス、あやめの花だったとどこかの本で読んだ、あやめの香りの香水がそこで売られているというのは、わたしのあやふやな記憶ですが、Kちゃんはそこの石鹸を愛用しているそうなので私もついて行きました。格調高い薬局です。商品は並べられていません、パンフレットでほしいものを吟味してからカウンターの女性に頼みます。Kちゃんは刺激の少ない石鹸を、始めての私は基本かな?と思ってパンフレットの最初にあるサンタ・マリア・ノヴェッラ水を買う。サンタ・マリア・ノヴェッラ水とは、私の認識としては鎮静剤といったイメージ、そんな香りなのです。帰ってから調べたところ東京に支店があるようなので、機会があったら行ってみてもう少し調べてみたい。 |
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サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 |
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緑の回廊 |
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フレスコ画の色合いが 忘れられない |
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サンタ・マリア・デル・フィオーレの ドゥオーモ |
レップブリカ広場まで歩いて来て、広場に面したカフェでお昼になった。カフェ・パスコフスキー、この日は少し寒かったので広場の北側の良く陽のあたっているお店を選んだ。すずめがテーブルのパンを突っつきに訪問するし、犬を連れたお客さんも来ている。隣のテーブルのアメリカ人のカップルはニューヨークから来たそうだ、TちゃんとSonyのデジカメがおそろいだということで、写真を撮りあった。それが4人そろった2枚目の写真です。 |
リゾット 今はフンギ、ポルチーニの季節 |
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こちらはトマトベースのお味 |
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ドゥオーモからの景色 |
すずめ、見えますか? |
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洗礼堂の丸天井画 |
ブランカッチ礼拝堂の中で とっても気になった天使の彫刻 |
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サン・スピリト教会 このファサードが好き |
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11月23日 Mは早めに起きてピッティ宮殿方面に早朝散歩、私はその間に部屋からのスケッチに急いで彩色などしてから朝食に行った。 この日、第一陣(つまり夫達)は帰国の日。何も起こらなければ、タクシーで空港へ向かう夫達を、Kちゃんと私はホテルで見送っていたかも知れない。しかし、その朝事件は起きた。 駅まで走る、バゲージを転がしながら4人で走る。大きな音をさせるのでヒンシュクをかったり同情されたりしながら、昨日のんびり歩いた道をひたはしりました。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅でやっとタクシーを見つけることが出来て、とにかく4人で空港まで行きます。飛行機に乗れるかどうか、見届けなくてはなりません。ゼイゼイハアハアの私達に、運転手さんは「大丈夫、だいじょうぶ、空港なら10分で行ってあげるから」と言い、結構飛ばして本当につれて行ってくれました。 |
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アルノ川 |
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「2人は今ごろ安心してビールでもやっているに違いない」などと話しながら、Kちゃんと私はバスで街へひきかえす。バスが着いたのはどこだったのだろう、ドゥオーモに近いバスセンターのようなところだった。降りたところでイタリアの野菜の種と天使のカレンダーを買ったり、ドゥオーモ近くで可愛らしいデザインのしおりを買ったり、やはり女2人になるとウインドショッピングの時間も増えるらしい。「一度Barでゆっくり何か飲もうね」と言いながら、感心なことに結局お昼まで休憩は無し。事件で午前中の予定はすっかり変更となりましたが、マラソン大会の為に人出が多くなっている街のなか、行きたいと思っていた国立バルジェッロ美術館と、バディア・フィオレンティーナ教会に行くことが出来た。 バディア・フィオレンティーナ教会は旅行前に読んだ『フィレンツェ幻書行』に名前の出てきた教会で興味を持ったのですが、フィリピーノ・リッピの絵があります。ちょうど礼拝の終わった時刻であと5分で閉まるところ、信者の方達に混じって礼拝堂に入れてもらいました。 シニョリーナ広場のカフェで昼食。そろそろマラソンが始まって5時間くらい経っていた。 |
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ドゥオーモの扉の 素敵な模様 |
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バルジェッロ美術館 歴代の市長の家紋が飾られている素敵な壁 |
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Milanoへ続く |