アレッサンドロ バリッコ 鈴木昭裕・訳
<101028>
黒猫・モルグ街の殺人 ポー 小川高義・訳
<101021>
小さいおうち 中島 京子
戦前の東京で、タキは若いサラリーマン家庭に 女中として住み込んだ。若奥様は22才、タキは 14才の時だった。赤い屋根を乗せ、美しいステ ンドグラスやサンルームを擁する新しい洋館に は、両親と一人息子の少年が住んでいて、そこ で信頼を受け働いた10余年の生活はタキにと って何にも替えがたい思い出の日々になる。
最終章、じわじわとしみじみと。ミステリアスんな 空気もたたえながら、ストロボ撮影された映像 のように大伯母タキの若かりし日々がフラッシ ュバックされて、ストーリーは現代の展開を見せ る。第143回直木賞
<101020>
岸辺の旅 湯本 香樹実
ある日、ふと気がつくと三年前にいなくなった夫が 目の前に立っている。
一緒に旅をするのは、彼岸と此岸の間に横たわる 河の岸辺、死者と生者のはざかいだ。
残された者にとっての旅は、死者が死者になる為 の時間を共有することだったのか。
夫の死を事実として呑みこむまでの旅。
「あの男はどう見たって、もう崩れかけていた。なのに女房を連れまわして、まだうろうろさまよっている……」(p.177)
<101006>